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AIエージェントに対しての私の最近のスタンス

Vol.012・2026.05.11 配信

Vol.012 AIエージェントに対しての私の最近のスタンス

前号では「AIエージェント=ファイルを動かせるAI」という入口をお伝えしました。今号は、その先――私自身が最近、AIエージェントをどう捉え、どう向き合おうとしているのか、現時点のスタンスを共有したいと思います。

PCの中に、新しい部下が住み始めた

最近、AIエージェントについて話すとき、私はよく「PCの中に新しい部下が住み始めた」という言い方をします。資料を作ってくれる、メールの下書きを用意してくれる、フォルダを整理してくれる、議事録からタスクを拾ってくれる――いろいろなことを引き受けてくれる存在が、画面の向こう側にいる。そんな感覚です。

これは導入としてはわかりやすい比喩なのですが、最近はこの状況をもう一段だけ具体的に考えるようにしています。「便利な何か」ではなく、「自分のチームに新しく入ってきた部下」として、ちゃんと向き合ったらどうなるか、という視点です。

指示を待ったまま、暇している部下

そのつもりでPCの中を覗いてみると、見えてくる景色があります。エージェントは、指示を出せばちゃんと働いてくれる、けれども指示を出さない限り、ただ静かに待っている状態です。能力はあるのに、出番が回ってくるのを待っている。

これを現実のチームに置き換えると、リーダーが一人で仕事を抱え込んでいて、部下が手持ち無沙汰になっている構図に近い。リーダーは目の前の作業に追われ、部下は「何をやればいいですか」と待っている。誰も悪気はないのに、チームとしては明らかに動きが鈍い。

PCの中で起きていることは、 現実のチームで起きていることと、よく似ている。

このたとえに乗って考えると、「指示を出さないと働かないAI」というのは、とても良くない状態だとわかります。せっかくの戦力が、ずっと待機しているわけですから。

とはいえ、「指示を出すこと」自体が結構大変

では、ひたすら指示を出し続ければ良いのかと言うと、現実はそう簡単ではありません。何を、どの順番で、どの粒度で頼むのかを毎回ゼロから考えるのは、想像以上に消耗します。実際に部下を持っている方ほど、この大変さは肌感覚で理解されているはずです。

だからこそ、現実の組織には部署や役割があり、それぞれの担当業務が決まっているのだと思います。営業は営業の仕事、経理は経理の仕事、現場は現場の仕事。役割を切り分けておくからこそ、リーダーは毎回「あなたの仕事はこれです」と説明し直さずに済む。チームとしてのスループットが上がる。

AIエージェントも、まったく同じ構造

AIエージェントについても、これとまったく同じことが言えます。それぞれにやらせることをあらかじめ決めておき、決まった条件で動き出すように仕込んでおく。そうすれば、こちらが毎回ゼロから指示を組み立てなくても、部下たちはどんどん仕事を進めてくれます。

議事録の整理を担当するエージェント、タスクリストを更新するエージェント、メールの下書きを書くエージェント、社内資料の体裁を整えるエージェント――役割を切り分けたエージェントが並んでいる状態は、小さな「部署」がPCの中にできあがっているのと同じです。

逆に言えば、役割を決めずに「なんでもやってくれるAI」として置いておくと、結局は毎回こちらから具体的に指示しないと動かない、いつもの「指示待ち部下」状態に戻ってしまいます。AIエージェントを活かすか殺すかは、役割設計の有無にかかっている――というのが、私の現時点の見方です。

これからの方針:部下を量産していく

こうした整理を踏まえて、私はこれからAIエージェントを「PCの中の部下」と捉え、その部下を量産していくプロジェクトを本格的に進めていこうと考えています。便利な道具をひとつ増やす、という発想ではなく、自分のチームの編成そのものを組み直すイメージです。

どんな業務に、どんな役割の部下を割り当てるか。どこまで自走させ、どこに人間のレビューを残すか。一人ひとりの部下のスキルセットをどう育てるか。マネジメントとして当たり前にやってきたことを、AIエージェントに対しても当たり前にやる。それだけのことだと思っています。

今後のメルマガでは、この「部下量産プロジェクト」の途中経過を、実例とともに少しずつ共有していくつもりです。読者のみなさんのチームでも、PCの中で暇している部下が、少しずつ動き出すきっかけになれば嬉しいです。

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